怪人フラーの必殺技に、ムムヌチハンターピンチ!?
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第1幕

「何だ、あいつらは!!あんな奴らがいたら那覇の支配ができないではないか!!」
フユー大帝は青い体を真っ赤にしながら怒り、周りにいるクードンチュに八つ当たりしました。無事だったクードンチュは、大帝のかんしゃくを収めるのに必死です。
「このままでは私の夢など、まさに夢で終わってしまう・・・・何なのだ、あいつらは!!!」 フユー大帝の住む浮遊城全体に声が響き渡ります。
このままではクードンチュ達もたまったものではありません。
「あのぉ・・・・大帝、奴らに勝てるものを新たに作り出してみては?」
第2幕

・・・・・・。
「そうか、その手があったか!」
そういうと、大帝の背中にある光輪が、真っ黒な光を出し始めました。そして、黒い光の中から新しい怪人が生まれたのです。
「行け、怪人フラーよ!あの邪魔者どもを消してくるのだ!」「ははぁっ!」
フラーはフユー大帝の命をうけ、さっそく那覇へと向かいました。
「ふむ、まずは奴らの居所を探る必要があるな・・・確か大帝から受け継いだ記憶では、ガキどもと接触していたはずだ・・・こいつらなら、何か知っているかもしれん・・・」
不気味な目が赤く光り・・・・・
第3幕

そのころ、トランジットモールから家に帰った健太君は、弟の啓太君と一緒に、今日起きた出来事がまだ信じられないという風に、はしゃぎながら話していました。
ベッドの上を飛び跳ねながら、フユー大帝・・・五人の戦士達・・・そして、自分たちを助けてくれたムムヌチレッド・・・・・。
あまり騒ぐので、一階にいたお母さんが、「コラッ!あんまりうるさくするとご近所に迷惑でしょ!」と注意しに上がってきました。
でも興奮の冷めない二人は、お母さんの声も耳に入らず・・・・
「すごかったね、あの五人がいればフユー大帝なんかに負けないね!」
お母さんはそれを聞くと、
「テレビの話はもういいから、健太は宿題やったの?言うこと聞かないともうトランジットモール連れてってあげないよ!」と、まるであの出来事を忘れてしまったかのような返事を返してきました。
啓太君が、「覚えてないの?ムムヌチレッドが助けてくれたんだよ!」と話しても・・
「ふう・・・とにかく夕飯できてるから早く降りてらっしゃい。」
ソファーに座っていたお父さんにも、今日の出来事を話してみましたが、やはり覚えていないようでした・・・。
お母さんは、子ども達がテレビに夢中になりすぎて、興奮してドタバタ部屋で暴れていたので、叱ってやってほしいとお父さんに話しました。
「別にいいじゃないか、男の子はそういうものに憧れるんだよ。」お父さんはそういうと、健太君・啓太君のほうを向き、「でもだからといって、人の迷惑になるようなことはしちゃいけないな。ちゃんと謝りなさい。」と二人を諭(さと)しました。
二人は「ごめんなさい」というと、席につき夕飯を食べ始めました。
「でも、本当に見たんだよ」「赤い体をした人が守ってくれたんだ。青い奴とか黒い奴もいたんだ。テレビでやってたムムヌチハンターの衣装みたいなものを着てたんだよ。本当だって」
啓太君が必死に説明しても、お父さん・お母さんは、テレビに夢中になりすぎだなぁと苦笑いを浮かべているだけでした。
第4幕

次の日、健太君は学校に行って、国際通りで起きたことを友達の裕樹君に話してみました。裕樹君もあの日、トランジットモールに来ていたからです。すると、
「知ってる、僕、黄色い奴に助けてもらったんだ。」
それを聞いた周りのみんなも、「ぼくも」「わたしも」と集まってきました。そしてみんなこう言うのです。
「お父さんもお母さんも信じてくれない」
あれだけ大騒ぎだったのに、他にも人がたくさんいたのに、なぜ大人達は信じてくれないのか・・・・
健太君は、学校を帰るときになっても、そのことばかり考えていました。
角を曲がった時、何か大きなものにぶつかりました。
「あ、すみません」
と言いながら健太君が見上げると、そこには鬼のような恐ろしい顔をした怪人フラーが立っていたのです!!
「お前だな、あの邪魔者どものことを知っているのは!!」
フラーは健太君を捕まえ、その大きな手で締め上げて恐ろしい声で脅しました。健太君は恐怖に震え、声もでません。
「言え!奴らはどこにいる!」
「た、助けて・・・ム・ムヌチ・・レッ・・・ド」
その瞬間、目の前がパッと光ったかと思うと、あの赤い戦士、ムムヌチレッドが現れたのです!
「その子を放せ!用があるのはこの俺だろう!」
フラーは健太君を突き飛ばし、レッドを睨み付け、
「貴様、ムムヌチレッドだな!自分から来てくれるとは探す手間が省けたわ!他の奴らはいないようだが・・まあいい、まずはお前から消してやる!」
そう言うと、レッドに向かって突進してきました。
突然迫ってきた巨体を避けることができず、レッドは吹き飛ばされてしまいました。健太君は急いでレッドの元に駆け寄りました。
「レッド!大丈夫!?」
「つ、強い・・こんな奴に勝てるのか?」
第5幕

レッドがそう思った瞬間、四つの光が周りで輝きました。
「猪突猛進なのもいいが、どうにかならんのか?」
「五人いるんだから一緒にやらないと損だろうがよ」
「カッコつけるのも程々にな」
「俺はお前のそういうところが気にいらんのだ」
エイサーブルー、ウフジシブラウン、ウフンナイエロー、ハーリーブラック。四人の美ら結の戦士たちが駆けつけました。
フラーは大笑いすると、空からたくさんのクードンチュを呼び寄せました。
「自分達から揃ってくれるとは好都合、ここでまとめて叩きつぶしてくれる!」
健太君は電信柱の陰に隠れて、ムムヌチハンター達の戦いを見守ります。
第6幕

クードンチュ達が突っ込んできます!その鋭い爪で切り裂こうとしますが、ムムヌチハンター達は巧みに避けながら、拳や蹴りを繰り出します。
クードンチュは次々と倒され、煙となって消えていきます。
「フン、なかなかのものだが、奴らを倒すぐらいの力がなくては、こちらも力の出し甲斐がないものよ。ならば、これならどうだ!!フラーヤーハブ!!!」
フラーの口から長細い真っ黒な煙が出ると、ウフジシブラウンに向かって、まるで生き物のように襲いかかってきました。すぐさま避けようとしますが、どこまでも追いかけてきます。
「なんだぁこいつ、ハブみてぇにしつこい!」
と言ったとたん、その煙がブラウンの体に巻き付いてきました!そのとたんに体中の力が抜けていき、その場でイビキをかきながら眠ってしまったのです。
「ウフジシ!!」
ウフンナイエローが駆け寄りすぐさま起こそうとしますが、ウフジシブラウンはイビキをかいたまま起きようとしません。
「ZZZZ・・サーターアンダギーがあるよ~ZZZZ」
沖縄版お菓子の家でも夢に見ているのか、よだれをたらす始末。
「見たか!この技は相手の欲望を引き出し、八龍気(やるき)を消してしまうのだ!貴様らもそいつのように役立たずにしてやる!」
一度でもあの技を食らえば、ウフジシブラウンのように戦うことができなくなります。
第7幕

「いったいどうすれば・・・」
その時、イエローがあることを思いつきました。
「あいつの口から出るんだから、その口をふさいでやろう」
「でもどうやって?あいつのはき出す煙がハブのように追っかけてくるんだぞ!」
「ま、見ておけよ」
フラーは「お前等も食らえぇ!」と、あの煙をムムヌチハンター達へ放ちました!
ウフンナイエローは、両腕を前に突き出し、ねじりだすと・・・
「ウフンナ・チョーキング!!」
雄気(ゆうき)を練り上げてできた大綱が両腕から飛び出し、煙を蹴散らしつつフラーの全身に巻き付いて口をふさいでしまいました。
「いまだレッド!」
第8幕

「よし!」
レッドが両腕を高く上げると、金色の龍が巻き付いた朱色の大きな旗頭が降りてきました。レッドはそれを受け取ると、頭上で回しながら八龍気を溜めていきます。そしてそれを一気に地面に叩きつけ、
「ガーエーウェーーーーーーブ!!!」
八龍気は龍となりフラーに襲いかかります!
「ぐわああああああ・・・・・・・」
フラーが煙となって消えていきます。
眠っていたウフジシブラウンも、ガーエーウェーブから出た八龍気を浴びて目覚めました。「ん~よく寝たぁ・・・」
「よく寝たっておまえねぇ・・・」エイサーブルーは半分あきれ顔です。
第9幕

電信柱の陰にいた健太君の目には、はっきりと五人の戦士が見えます。
『大人達が言うように幻でも、作り話でもない。ムムヌチハンターは本当にいるんだ!』
そのとき、ムムヌチレッドが近づいてきました。
「大丈夫だったか?ケガはないか?」
しゃがみこみ、子どもの目線でレッドは話しかけます。健太君はとまどいながらも、昨日から知りたかったことを、レッドに聞いてみました。
「僕ね、国際通りの時にも見たんだ。学校でもたくさん、知ってる友達がいた。けど、お父さんもお母さんも、みんなのお父さんやお母さんも、そんなの知らないって言うんだ。どうして大人達はムムヌチレッド達のことを知らないって言うの?」
その問いにエイサーブルーが答えます。
「大人達は、「美ら結」の心を失いつつある。ご近所同士の家でも、他人なら挨拶すらしなくなっている・・・・心に空洞が生まれてきてるのさ。」
「だから、美ら結の心の塊である俺たちの存在が見えなくなってきているんだ。そりゃあ、大人達全員がそういうわけじゃあないんだぜ。」
ウフジシブラウンが続けます。「でもな、最近そういう大人が増えつつあるからなぁ。」
「居眠りしてても、説明はちゃんとできるんだな。」ハーリーブラックが皮肉を言いつつ、話を続けます。 「フユー大帝は、そういった心の空洞から生まれた、いわば負の力の塊だ。」
「本来なら、私の縄のように皆の心がひとつになり、お互いを結びつけているはずだった。」ウフンナイエローはすこし哀しげに言いました。
レッドは、健太君のその目を見つめて、こう語りかけました。
「君たちに俺たちが見えているのは、純粋な「美ら結」の心をまだ持ち続けているからなんだ。俺たちがここにいるのも、君たちのような純粋な心が、完全には失われていないという証(あかし)でもあるんだ。」
「じゃあ、このまま心が無くなっていったら、どうなっちゃうの?」
「奴の・・・フユー大帝の思うがまま。この沖縄は破滅に向かうだろうな・・そして俺たちも消えてなくなるかもしれん・・・・」ブラックは静かにそうつぶやきました。
「みんなは心を守るために戦っているんだね?」
「そう、「美ら結」の心を守るために。でも、それだけではだめなんだ。」

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